ゲノム編集技術により開発したGABA含有量を高めたトマトの2例目の届出提出について

筑波大学発ベンチャーのサナテックシード株式会社(代表取締役会長 竹下達夫)は、ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9(クリスパー・キャス・ナイン)」(注1)を利用して、従来の品種改良技術に比べて効率的に、血圧上昇を抑える作用を持つ機能性成分「GABA(ギャバ)」(注2)の含有量が高いトマトの届出をいたしました。

2021年より販売のゲノム編集作物として世界初となる高蓄積GABAトマト「シシリアンルージュハイギャバ」に続き、2例目です。

届出にあたりサナテックシード株式会社は、厚生労働省 医薬・生活衛生局 食品基準審査課 新開発食品保健対策室と食品としての取り扱いの事前相談を、また、農林水産省 消費・安全局 農産安全管理課とは、生物多様性への影響に関する事前相談をしておりました。今般、これらの事前相談が終了したことから、今回の届出に至りました。食用としての流通を考えていますが、規格外果実の処理等で飼料利用がある可能性があるため、農林水産省 消費・安全局 畜水産安全管理課へ事前相談をしており、事前相談が終了したことから、飼料利用としても届出をしています。

これらの情報は以下のそれぞれの省庁のホームページにて公表されております。

(1)食品安全について:厚生労働省 新開発食品保健対策室

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bio/genomed/newpage_00010.html

 

(2)生物多様性影響について:農林水産省 農産安全管理課

https://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/carta/tetuduki/nbt_tetuzuki.html

 

(3)飼料安全について:農林水産省 畜水産安全管理課

https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/siryo/ge_todokede.html

 


#206-4系統について

今回届出をした#206-4系統は、2021年より販売中のゲノム編集作物として世界初となる高蓄積GABAトマト「シシリアンルージュハイギャバ」と同様のことを異なる品種に行ったものです。リコピンが多く含まれる中玉トマト品種であり、シシリアンルージュハイギャバとは違った楽しみ方が期待されます。

 


販売計画と表示について

まだ販売計画については未定です。

販売する際にはシシリアンルージュハイギャバと同様に家庭菜園用苗や食品には、以下のマークを表示し、ゲノム編集技術で開発したことが分かるようにいたします。

 

 

 


問い合わせ先

サナテックシード株式会社

E-mail:info@sanatech-seed.com


注釈

注1 クリスパー・キャス・ナイン(CRISPR/Cas9)とは

1953年にDNAの二重らせん構造が発見されてから、人間、動物、植物など多くの生物の遺伝子構造が詳細に研究され、異なった遺伝子のそれぞれの役割が発見され続けています。世界中の科学者による研究の末、2012年、スウェーデンのウメオ大学のエマニュエル・シャルパンティエ氏とアメリカ、カリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ氏がゲノム編集技術「クリスパー・キャス・ナイン(以下CRISPR/Cas9)」を開発しました。この技術は、生物の持つDNAに外部の他の種のDNAを導入することなく、狙った遺伝子のみを的確に変異させることを可能とするものです。これにより従来の品種改良技術と比べて、効率の良い品種開発を行うことが可能です。この技術は次世代の農作物開発にとって大きな可能性を秘めており、食料の持続的な確保と同時に栄養、加工、貯蔵、健康(アレルギー誘発の減少など)面からの食料の品質改善に貢献するものと期待されています。エマニュエル・シャルパンティエ氏とジェニファー・ダウドナ氏は、ゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」の開発により2020年ノーベル化学賞を受賞しました。

サナテックシード株式会社は、Corteva Agriscience社およびBroad 研究所(Broad Institute of MIT and Harvard)から非独占的研究・商業ライセンスを受け、この技術を使用しています。

 

注2 ギャバ(GABA)とは

ギャバ(GABA)はアミノ酸の一つで、抑制性の神経伝達物質として知られています。血圧上昇の抑制やストレス緩和効果があることが報告されています。