たまにS N Sやニュースで、シシリアンルージュハイギャバの花粉が、知らない間に近くのトマトにも飛んで何か影響を与えるのではないか、というような心配の声を見ることがあります。
はっきり言って、このようなことはまず起こりません。まずシシリアンルージュハイギャバに限らず、これまで栽培されているトマトで、花粉が飛んで他のトマト品種の品質が変わってしまったという問題はこれまで耳にしたことがありません。またトマトの場合は、自家受粉といって1つの花の中でめしべに花粉がついて受粉し、実が大きくなり種ができます。なので、他のトマトの花粉が付いて違う品種ができるというのは、人為的にやらないと滅多に起きることではありません。
万が一、他のトマトのめしべにシシリアンルージュハイギャバ花粉が辿り付いたとしても、ゲノム編集技術は突然変異を狙って起こす技術であり、効率よく品種改良を行う技術です。できたものは従来の品種改良でできたものと変わりありません。なので、何か起きたとしても、これまでの品種改良で得られたトマトで起きうることしか起きません。
それに種を売っている種苗会社さんは、他の品種が混ざらないように非常に注意して受粉作業をし、純度の高い種を採り、それを農家さんが育てています。そういう意味でも、今回の家庭菜園のシシリアンルージュハイギャバの花粉が付いて、他の品種に影響があるということは考えられません。
さらに、ゲノム編集技術は新しい技術ですので、流通する前に農林水産省へ事前相談し、専門家たちに生態系(専門用語で生物多様性と言います)に対する影響がないか確認してもらうことになっています。シシリアンルージュハイギャバの元となった系統は、この事前相談およびその後の届出も行っており、専門家の目で見ても生物多様性に対する影響がないと判断されています。